東大医学部といえば、東大の理科三類と呼ばれるところに合格せねばならず、そのレベルは間違いなく日本で最高峰です。全国から地方の神童と呼ばれる学生が受験しては散っていくのもこの東大理Ⅲ。そんな東大医学部に息子3人を灘経由で入れた佐藤ママの書籍が話題です。

読むと中身は非常に興味深く、今後の育児にも幾つか取り入れた方が良いかもと思える点がありましたので紹介します。


子供の成績はやはり親次第

「受験は母親が9割」という衝撃的なタイトルをつけている通り、

  • 親が子供の勉強にできるだけ関与することが重要である

ということです。

つまり、「あんた、しっかり勉強しときいや!」と子供には言っておいて、自分はリビングであぐらをかいてポテチを食べながらテレビを見ていてはダメだということです。

「よおし、今日も一緒に勉強するでえ!はよノート開き!」
「あんた、昨日もやったのに全然できないやんか!晩御飯抜きにするで!」
レベルで関与しないとダメだということです。

「勉強しとき」、は論外ですし、
「塾に行かせてるから大丈夫」
「塾の先生に任せてるから」でもダメだということです。

教育するためには自分ができていることが大前提!にも記載したように、親も一緒になって勉強をする、積極的に子供の勉強に中身まで含めて関与することが重要です。これは、書籍:学力の経済学でも記載されていることです。

佐藤ママは、息子たちの勉強の秘書のように徹底的に勉強をサポートしています。資料作りから、採点などこなし、一人一人の息子たちと二人三脚で勉強に関与しています。

その関わり度合いが尋常ではなかった。

その結果、普通では考えられないような天才へと息子たちは育ったのです。逆にそうでもしないと、受からないのが東大理3というところです。

関連記事)科学的根拠に基づいた子供の成績を伸ばす3つのポイント!

satoumama

完璧を目指すという精神

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9割できたはダメ!満点じゃないと!という記載があります。普通ならば9割できたんならいいじゃないと思いがちですが、それではダメだと。

「勝てばいいんじゃない、完璧に勝たないと!」という精神です。

野球でいうならば、完全試合をしないとダメだ!といってるようなものでしょうか。一瞬の気の緩みが敗戦に繋がる、それを知っているからこその精神だと思います。

実際東大理3ともなると、他の理科1類や理科2類といった理系とは異なり、難易度の高い問題にもかかわらず、ちょっとした1つの取りこぼしが命取りになります。もちろん東大の問題で満点なんて取れるものではありませんが、満点を取るつもりで、完全試合をするつもりでやらないと、敗戦につながるということです。

その言葉の通り、佐藤ママは徹底して受験をサポートしてきました。まさに佐藤ママの完全試合!を見ているかのようです。

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受験には正しいノウハウがある

Boy 3

  • 地方の無名な高校から東大理3を受験する人
  • 灘高校など名門高校から東大理3を受験する人

特に灘のように圧倒的な合格者数が示すように、後者がやはり有利です。なぜなら後者にはノウハウがあるからです。また先輩たちのデータもあり、

  • 灘でどのくらいの位置にいれば、どこに受かるかなどが大まかにわかる。
  • 足りない分は何をどれだけすれば良いかがわかる。

ということです。これは合格実績が乏しく情報がない高校からすると考えられないことであり、自信が確信に変わり、結果合格につながるという灘高の正のスパイラルを作っているとも思われます。佐藤ママ自身も1人目の受験よりも2人目、3人目とやることが明確になったという旨を書かれています。

私ごとですが、浪人時代、医学部を目指す灘出身の人たちと友達になり、やっている勉強を見て唖然としました。今はもう古いのかもしれませんが、

  • 数学なら、「新数学演習」
  • 物理なら、「難問題の系統とその解き方物理」

などというように、徹底して皆同じ問題集をやり込んでいました。他の皆が、問題集などをあれこれ手を出したりする中、他のものには目もくれず、それをどれだけやれば成績が伸びる、受かるということがわかっていたかのように見えました。そして次の年に全員京大医学部へと合格していきました。

この時に感じた「受験にはノウハウがある」、ということを今回の佐藤ママの本を読んでその詳細に触れられたような気がします。鉄緑会など普通の公立高校の人たちは知らないような、灘など有名私立高校生だけが知っている、当たり前だと思っている王道コース、王道ノウハウというものがあるのです。

日々の勉強の際の注意ポイントなど詳細に本には書かれているので、世の教育ママにはたまらない本なのかもしれませんね。正しいノウハウで正しい量の勉強すれば基本的には学力は伸びます。

東大ならば東大特有の対策など別途必要となりますが、そこにも正しいノウハウがあります。10年前などと比べると特に東大の場合は、ノウハウも収集しやすくなったので、地方の無名高校であってもある程度ノウハウをゲットして同じ土俵に近いところで戦えるのかもしれません。

成績を上げるためには、

  • 正しいノウハウ
  • 正しい努力

この双方が必要です。現役時代の私はこの両方に欠けておりその後も苦労しました(笑)。個人的には正しい勉強の仕方という講義があってもいいと思うくらいです。

書籍:天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論があるにも似たようなことが記載されています。

関連記事)子供を東大に入れる育て方!これからのあるべき教育とは?

最後に

Road (2)

ここまで佐藤ママに肯定的な立場を取ってきましたが、実はこれが正解とは個人的には思っていません。佐藤ママは究極の形で受験を息子達と克服した。皆が真似できることではありませんし、その辺の教育ママにもそこまでの徹底ぶりは無理でしょう。

それだけ大変だったと思いますし、素晴らしいことだと思います。精神的にも肉体的にも・・・。本当にすごい。受験で合格することを圧倒的最上位としてやってきたのですから。

一方でこんな意見もあります。

  • 受験最優先にした結果、色んなものを犠牲にしてきた。
  • 東大医学部に合格することがゴールではない。

書籍の中で、部屋が散らかっていようが、部屋の掃除よりも子供の勉強を優先してきたという記述があります。ここまでやらないと東大医学部には受からないということでもありますが、常軌を逸しているという見方が通常です。

また、東大の医学部に入ったから偉いわけでもなんでもありません。入った後留年して脱落していく人もいますし、全国で9割受かる医師国家試験に落ちる人もいます。東大だから医師としての給与が高くなるわけでもありませんし、東大出身だからと、優遇されるような制度ももはや崩壊状態です。これは他の大学も同様です。

6年後には医師国家試験を迎えます。そこに合格してからやっと医師としてのスタートラインです。ですので、東大医学部に合格することはスタートラインにも立っていないという見方もできます。

  • 私はこのように指導してきて、息子を3人も東大医学部に入れた!

そのノウハウをまとめていただいて、世の教育ママは大喜びだと思う(私は父親ですが非常に勉強になりました)一方で、「すごいでしょ?」と言っているだけと感じる人もいるはずです。医学部を出た後の、続編も期待したいですね。

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