髄膜炎(ずいまくえん)という病名、聞いたことはあるけど、「何だか怖いな」という程度で、身近な病気とは感じないのではないでしょうか?
実際、私がそうでした。
でも、その髄膜炎に・・・うちの4歳の息子がなったんです!!!
そして、上の子の友達も同時期に髄膜炎で入院していたとか・・・流行性の風邪から起こるので、実は周りでも意外といたりするんですよね。
髄膜炎は原因により、無菌性・細菌性・結核性・真菌性というものに分けられますが、うちの子の場合は無菌性でした。
今回は、無菌性髄膜炎で子供が入院した時の体験とともに
- 症状
- 検査方法
- 治療方法
- 入院期間
- 入院生活
- 再発の可能性
- 後遺症
などについて、体験談を交えつつ、ご説明いたします。
そもそも髄膜炎とは?
脳や脊髄は本来、ウイルスや細菌といった微生物を含まないキレイな脳脊髄液に守れている状態です。
下の図のように、内側の軟髄膜(なんずいまく)と外側の硬膜(こうまく)の間の「くも膜下腔(くもまくかくう)」と言うところに、脳脊髄液が流れています。
ところが何らかの原因でこのくも膜下腔に微生物が侵入すると、髄軟膜で炎症が起こり、髄膜炎となります。
最初に述べましたように、髄膜炎には原因により
- 無菌性(むきんせい)
- 細菌性(さいきんせい)
- 結核性(けっかくせい)
- 真菌性(しんきんせい)
という種類があります。
今回はうちの子も体験した無菌性髄膜炎についてお話ししますと・・・
無菌性髄膜炎の原因は?
最も子供に多いのが無菌性髄膜炎で、原因は夏から秋にかけて流行する風邪(夏風邪)を引き起こすエンテロウイルスというものです。
そして、このウイルスが髄膜に侵入し、免疫応答により炎症や浮腫を起こすものを無菌性髄膜炎といいます。
無菌性髄膜炎の症状や検査方法は?どうやって診断される?
症状から診断までの流れをご説明します。
髄膜炎の症状
髄膜炎の場合、以下ような症状が出ます。
- 激しい頭痛
- 熱
- 嘔吐
- 倦怠感
しかし、初期症状は頭痛や嘔吐など、風邪と似ているので、これが髄膜炎だと医師でもすぐには判断できないようです。
エンテロウイルスが原因となることが多いといいましたが、普通の何てことない風邪やおたふく風邪、マイコプラズマなどからも髄膜炎になる可能性はあります。
我が子の場合の症状
朝元気に幼稚園に行ったものの、「顔色が悪く、本人もきついと言っている」と昼頃、幼稚園から電話が・・・
迎えに行くと、熱もなくスタスタ自分で歩いてきたので、寝不足か熱中症かな・・・くらいに思っていました。
ですが、帰宅後すぐに嘔吐・・・
とりあえず寝かせ、午後の診察時間開始と同時に小児科を受診。
小児科を受診した時、37度だったんですが、もう起き上がれない状態になって、首がだるそう・・・
それを見た看護師さん達が「おかしい」と言いはじめ、すぐに診察。
小児科での検査
- 項部硬直・・・仰向けに寝た状態で、首を持ち上げ、首の硬さをみる(前屈させると抵抗がある)
- ケルニッヒ徴候・・・仰向けで、足を持ち上げると、抵抗により膝を135°以上伸展できない
- ブルジンスキー徴候・・・仰向けで、頭を前屈させると、股関節や膝関節が自動的に屈曲する
この顎が胸につくかどうか(項部硬直)、実際にこんな状況ですと説明されましたが、何度やっても首が硬く、全然顎が胸につかない状態が私でも確認できました。
そこで、「すぐさま大きな病院に行って検査をしてください」と急いで紹介状を準備してもらいました。
上の子が帰って来る時間だったんですが、それすら
「待っている余裕はないよ!早く!」
ということで、知人に上の子のことをお願いし、大きな病院(小児救急のある病院)へ。
ただ、病院の待合室で2回嘔吐しました。
大きな病院での検査
ここでも、まずは先程小児科でもやられた首のチェックが行われ・・・
すぐさま「間違いありません、髄膜炎です。入院になりますが、その前に検査を行います。」
と言われました。
その検査は、
- 血液検査
- 脳脊髄液を抜く検査(腰椎穿刺)
でした。
腰椎穿刺とは、腰椎(背骨)の間から針を刺して、脳脊髄液の一部を抜いてその性状を調べる検査です。
嘔吐していたので白血球の数値は上がってましたが、それ以外に脳脊髄液を調べた結果、数値が通常の3倍4倍になっており(圧が)、無菌性髄膜炎と診断されました。
背中から針をくも膜下腔に刺して脳脊髄液を抜く検査(腰椎穿刺)をしたことで圧が下がり治療にもなるのです。
結局、原因についてウイルス性の風邪からのことがほとんどなものの、髄液の培養検査で何も検出されないと「無菌性」となり、それ以上の原因追求はされないことがほとんどとなります。
症状についてもっと詳しく知りたい場合はこちら→子供の髄膜炎はこんな症状に注意!あればすぐに医療機関へ!
無菌性髄膜炎の治療法は?入院期間や病院での過ごし方は?
入院手続きをする際、大体の入院期間の目安(予定)を教えてもらえます。
入院期間
入院した時点での予定日数は1週間。
「多分、そんなにかからないよ」と言われました。
通常2〜3週間ほどで改善するため、自宅療養期間を含めるため、入院自体は1週間ほどのことが多いようです。
急な子供の入院の場合、こちらの持ち物リストを参考になさって下さい→子供の入院!慌てないための持ち物リスト!
治療法
症状に合わせた対処療法が基本となります。
- ヘルペスウイルスが原因の場合は→アシクロビル(抗ウイルス薬)
- サイトメガロウイルスが原因の場合は→ガンシクロビル(抗ウイルス薬)
- 頭蓋内圧亢進が認められる場合は→抗脳浮腫薬
先ほど申しましたが、髄液検査が脳の圧を下げる治療にもなります。
病院では、点滴で栄養分を補いつつ、とにかく安静です。
うちの子の場合、入院した夜は39.6度まで熱が上がり、当日は座薬を入れるしかできませんでしたが・・・
入院生活
- 歩行禁止
- テレビ禁止
- ゲーム禁止
- 絵本禁止
- 頭を上げるの禁止
とにかく、初めの3日はこれを徹底!
安静というのは、体を休ませるだけではなく、脳を休ませることも重要で、目から入ってくる刺激はとても強いことがわかります。
しかし・・・ぐったりしているうちはこれを守れたんですが徐々に熱が下がると、尿瓶を嫌がるようになり、頭を上げちゃだめと言っているのに、起き上がりだすんですよね。
食事中も、ベッドのリクライニングを上げて食べさせてたんですが、自分で食べたいと3日目には座って食べるように。
この安静が小さな子供にとっては最も難しく、入院中、同室の子がやっているゲームやDVD鑑賞等を羨ましがって大変です・・・。
ちなみに、うちの子はどうやって過ごしたかというと・・・私がひたすら折り紙で色々なものを折り、それをただちょっと動かし、ごっこ遊び等をして見せていただけです。
そういう風に過ごしていると、同室のお兄ちゃん達が、自己流の紙飛行機などを折ってくれ、「退院したらいっぱい外で飛ばしてね」と、ただそれを楽しみに過ごしておりました。
そして、様子を見ながら徐々にこの禁止が解けていきます。
- まずはベッド上で起き上がってよい
- トイレまで歩行
- 病院内のフロアを散歩
- 絵本を読んでよい
- テレビを見てよい
頭痛や吐き気が出ないか様子を見ながら、急に全部が解禁されることはなく、30分くらいテレビを見る許可がおりたり・・・
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無菌性髄膜炎は再発しないの?
再発の可能性はごく稀とのこと。
ほとんどの場合は、1週間以内に退院出来るとのことでした。
しかし、うちの子・・・再発したんです・・・しかも、入院中に!
午前中まで元気に、お見舞いに来た上の子とベッドの上で遊んでたんですが、皆が帰りお昼寝から起きた3時・・・
体が熱く、本人グッタリして・・・熱を測ると39.5度・・・。
「首が痛い」とボソリとつぶやき・・・飛んできた医師。
「また首が硬くなっている!」と、それから1度座薬を入れ、15時間寝続けました。
そして、翌朝には38度まで下がり、午後には平熱に。
首の動きも良くなってたものの、一時的な再発だったようです。
原因はわからないものの、安静にしてたら症状がひいたということは、急に動きすぎたことが原因じゃないかということでした。
退院してからも、すぐに手放しで自由だ~!という感じではありません。
入院中にまた別な風邪ももらってしまったんで、これ以上病院にいてはまた別な病気をもらってしまうという理由で、自宅で引き続きしばらく安静に過ごすようにということでした。
入院期間を含め、完全回復(外に出て遊べるようになる)までは2〜3週間、入院が1週間だった場合には、自宅で1〜2週間療養しましょう。
関連記事)予防接種後に熱が出た!もしかして髄膜炎?
無菌性髄膜炎の後遺症は?
もう1つ怖かったのが、後遺症は残らないのか?ということ・・・
これに関しては、入院した時点で「無菌性だし、発見と処置が早く出来たので心配はない」と言われました。
ただ、診断が遅れ、悪化してしまった場合・・・とくに子供の場合は怖いのです。
怖いとは・・・頭蓋内圧亢進による、脳への影響です。
ちなみに、うちの子の場合、幼稚園の職員の間でも「幼稚園では大きな問題はなかったのに、やはり子供がいつもと違う時は要注意」と言い伝えられています。
頭痛や嘔吐があった場合、首の動きも同時にチェックし、髄膜炎の早期発見に繋げるためにも、気になる際は受診時に相談してみるのもオススメです。
参考文献:
病気がみえる vol.7:脳・神経 P358・359
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P285
最後に
- 髄膜炎は風邪からでもなる
- 首の動きを診て髄膜炎を疑う
- 骨髄液を抜く検査で診断
- 安静が薬
- 歩行・テレビ・ゲーム・絵本・頭を上げるのも禁止
- 徐々に禁止が解けていき、頭痛や吐き気が出ないかチェック
- 稀だが再発もある
私は、安静の本当の意味を分かっていませんでした。
大人しく過ごすのが安静でなく、とにかく横になって目を閉じていることが本当の安静なんです。
再発したのだって、そんなに激しい動きをしたわけでもなく、歩き回ったわけでもありません。
そして、テレビから受ける、脳への刺激は強いということもわかりました。
この体験が少しでもお役にたてますように・・・。