子供の発熱の原因のほとんどは、いわゆる風邪によるものです。
でも中には命に関わる病気が原因となっていることもあります。その代表が髄膜炎です。
今回はどんなときに髄膜炎を疑い、医療機関を受診するべきなのかについてまとめました。
髄膜炎を疑うのは見た目!
子供が熱を出すと、「いつもの風邪か」と思うことが大半だと思います。
ところが、「あれ?何かいつもと様子が違う!」思えば要注意です。
実際医療機関を受診した後も、医師は、この見た目をまず重視します。
本来子供は元気なもので、機嫌が悪ければ泣いてアピールします。そのアピールさえも弱々しければ、黄色信号です。
- ぐったりしている。
- 顔色が不良である。
- 弱々しく泣く。
- 周りに興味を示さない。
- 不機嫌である。
- 視線が合わない。
- 呼吸に異常がある。
特にぐったりしているというのが、何より重要です。
また顔色が不良であるということも非常に重要な見た目であり、これは、体の血液の循環が悪いことを意味します。同時に手足の先が冷たくなっていないかをチェックしましょう。
そして、髄膜炎の特徴は、症状が出るのが早いということです。
熱が出てからこのような症状が出るまで2日以内が多いとされます。熱が出て2日目でこんなにぐったりしている!と思ったら髄膜炎の可能性があるということです。
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髄膜炎を疑ったら次に確認すること!
髄膜炎には昔から言われている三徴があります。
- 発熱
- 項部硬直
- 意識障害
でもこの3つが全部揃うのは50%以下と言われます。あれば怪しいと思わなければならないですが、ないから大丈夫なんてことはないわけですね。
さらに、項部硬直(頸が硬くなる)は他の兆候よりも遅れて出現してくるので注意が必要です。またこの項部硬直は生後18ヶ月以内の場合は頸の筋肉が十分に発達していないので評価困難なことがあります。
そのような場合はparadoxical irritationといって抱き上げると背中を痛がって泣くということがある場合もあり、注意が必要です。
また大泉門が膨れることがありますが、これも髄膜炎の20%にしか認められません。この兆候が見られた時には髄膜炎は進行しており、注意が必要です。ただし、大泉門は1歳半までに閉鎖しますので、それ以降の子供には使えません。
一方で、嘔吐は半数以上に認められ、特に発病初日に認められることが多く、初期の症状として重要です。
ですので、3徴にはあまりこだわらず、
- 熱が出て、ぐったりしている。顔色が悪い。
- しかも、昨日熱が出たばかりである。
- 嘔吐がある、頸が硬い(項部硬直がある)、意識障害がある。
- 大泉門が膨れている。
こんな時には、要注意!医療機関を受診しましょう。
髄膜炎をデータからチェック。
髄膜炎にはウイルス感染によるウイルス性髄膜炎と、細菌感染による細菌性髄膜炎があります。そして、以下のようなデータがあります。
- ウイルス性髄膜炎は夏に多い。(夏風邪ウイルスが髄膜炎に移行することがあるから。)
- 細菌性髄膜炎は季節は関係無い。
- そして、髄膜炎は生後7-9ヶ月に多い。
もちろんこれに当てはまらないから、髄膜炎ではないと考えるという意味では全くありません。傾向を知っておくことで、より髄膜炎を疑うべきです。
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最後に
髄膜炎は命に関わる病気の一つです。ヒブワクチン(2008年12月より任意接種開始)や肺炎球菌ワクチン(2010年2月より任意接種開始)を受けるのはこの髄膜炎を防ぐためです。そしてこのワクチンが開始され、小児の細菌性髄膜炎の数は大幅に減っています。
そのため、子供の発熱に毎回過度に心配する必要はありませんが、いつもと違う、なんかおかしいと思ったら、今回書いた点をチェックしてください。
特にワクチンを摂取していない場合は、注意が必要です。
そして、髄膜炎の可能性があると思えば、治療が遅れたということにならないために、すぐに医療機関を受診しましょう。
by kudi