耳下腺炎(じかせんえん)という病気を知っていますか?
子供の耳下腺炎には2つあるのですが、そのちがい、治療法などをきちんと知っておかないと、子供の将来にも影響してくる可能性も出てきます。
そこで今回は、子供の耳下腺炎について、詳しくご説明させていただきます。
子供がかかる耳下腺炎はこの2つ!
耳下腺炎には
・流行性耳下腺炎(通称おたふく風邪)
・反復性耳下腺炎
があります。
どちらも幼児~小学校低学年までにかかりやすく、耳の下(耳下腺)が腫れて痛がるのが特徴ですが、腫れ始めてしばらくは、おたふく風邪かどうか判断ができないため、再診が必要となってきます。
流行性耳下腺炎とは?症状や治療方法
<流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の症状>
- 耳の下が腫れて痛がる
- たいてい左右とも腫れる
- 腫れは1週間程度でひき、熱は3日~4日で治まる
- 頭痛、嘔吐、倦怠感を伴う
- 潜伏期間は2~3週間ほどで、ムンプスウイルスの唾液による飛沫感染で感染
<治療方法>
解熱鎮痛剤による、対症療法になります。
また流行性耳下腺炎には、任意のおたふく風邪ワクチンがあります。
1歳以上で受けることができ、90%~95%の子供にその効果が認められています。
感染すると、人にうつるので、腫れがひくまで(1週間程度)は学校、幼稚園を休む必要があります。
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反復性耳下腺炎とは?症状や治療方法
反復性耳下腺炎は、おたふく風邪によく似ていますが、下記にあげたものが少しちがいます。
- 片方だけ腫れる
- 熱は出ない
- 痛みはおたふく風邪に比べ軽く、2~3日程度で治まる
- 人にはうつらない
- 何度もくり返す
原因は、感染症やアレルギーなどが考えられますが、はっきりしていませんが、そのほとんどは、成長するにつれ再発はしなくなっていきます。
先にも書きましたが、専門医でもおたふく風邪との判断が難しいため、耳下腺の腫れに気づいたら、まずは「おたふく風邪」を疑い学校や幼稚園を休ませ、2~3日後再診しに行く必要があります。
反復性と診察された場合は、学校を休む必要はありません。
予防法はあるの?もしも大人がかかってしまったら?
大人のおたふく風邪は、症状が重く、治りにくいのが特徴です。
40度近い熱が出、合併症を引き起こしやすいです。
男性では睾丸炎、女性では卵巣炎になりやすく、どちらも不妊症を招く可能性が出てきます。
昔から「子供のうちにおたふく風邪になっておくといい」と言われるのは、このためです。
また日本では、おたふく風邪が原因で毎年5000人(発症率0.5%)の子供たちが難聴になっています。
これらを防ぐためにもおたふく風邪のワクチン接種が有効です。
ワクチンが定期接種化にならない理由
日本では、おたふく風邪のワクチンは「任意接種」になっています。
多くの先進国では2回接種が定期接種化(必ず接種しなくてはいけない)され、世界的におたふく風邪の発生件数は激減しています。
ではどうして日本ではいまだに任意接種なのでしょう。
日本でも1989年~1993年まで、おたふく風邪のワクチンが定期接種化されていました。
結果、原因であるムンプスウイルスの感染は減らすことができたのですが、副反応として、無菌性髄膜炎の発症頻度が高かったため、中止に至ったのです。
現在、任意接種なのは、無菌性髄膜炎の発症頻度が、中止した時と比べて大きく改善していないのが理由にあげられます。
日本での無菌性髄膜炎発症率は、0.03%~0.06%、海外での発症率は、0.001%~0.05%と日本のほうが比較的高いです。
このような結果から、日本ではいまだ任意接種であり、地域にもよりますが、おたふく風邪のワクチン接種率はおよそ30%と低くなっています。
最後に
副反応などありますが、色々調べてみた結果、個人的にはやはりワクチン接種をおすすめします。
おたふく風邪は一度かかれば免疫がついてその後かかることはありませんが、年齢を重ねれば重ねるほどかかったときに重症化します。
子供のためにも任意ではありますが、接種しておいた方がよさそうですね。
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