ヒューヒューゼーゼーという呼吸を喘鳴(ぜいめい)と言います。代表的な病気は喘息ですね。子供にこの喘鳴(ぜいめい)を認めたとき、喘息と診断されているならば、喘息発作と判断できますが、喘息といわれたことがなければ、びっくりしますよね。
今回はこの喘鳴(ぜいめい)を起こす原因とその見方について、まとめたいと思います。
ヒューヒューゼーゼー!呼吸の仕方を注意して観察する。
- 鼻をピクピクする鼻翼呼吸はないか?
- 顔色が蒼白ではないか?
- 首の筋肉が目立つことはないか?
- 肩が上がるような努力性呼吸をしていないか?
- 陥没呼吸の有無、あれば陥没する部位がある(胸骨の上、鎖骨の上、肋間、みぞおち)か?
これらについてよく観察するようにしてください。
陥没呼吸の位置をチェックする。
最初の30秒くらいまでは、みぞおちと肋間に陥没呼吸があります。また37秒あたりからは、胸骨の上に陥没呼吸があります。
胸骨の上に陥没呼吸があるときは比較的重症の気道の狭窄があると考えられています。ヒューヒューゼーゼーと呼吸の音も聞こえます。
こちらも胸骨の上が凹んでいますよね。胸骨の上に陥没呼吸があります。このような陥没呼吸があれば要注意です。
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続いて喘鳴(ぜいめい)が見られるタイミングをチェックする!
息を吐くときに喘鳴(ぜいめい)が見られる場合
- 気管支喘息
- 急性細気管支炎
- 気管支異物
といった病気の可能性があります。過去に喘息と言われたことがなければ、後者2つの可能性があるということですね。特に、何か飲み込んだかもしれないときには、気管支異物の可能性があります。
息を吸うときに喘鳴(ぜいめい)が見られる場合。
- 比較的上部での気道異物:誤嚥はなかったのかをチェック。
- 喉頭浮腫:アレルギー物の摂取や蕁麻疹などはないかをチェック。
- 急性喉頭蓋炎:発熱、全身状態が悪い、流涎(よだれが出る)がないかをチェック。
- クループ:上記を除外できたかをチェック。
といった病気の可能性があります。では続いて各病気の特徴を見ていきましょう。
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喘鳴を起こす病気の特徴
恐ろしい急性喉頭蓋炎
細菌感染が喉に起こり、喉が腫れて息をする気道が狭くなるという命に関わる病気です。この病気を疑った場合は、座位にしたまま搬送します。小児に限らず成人でも見られる疾患です。
ただし、成人の場合は、喉の痛みや、飲み込んだときに喉が痛いという症状が多いのに対して、小児の場合は、痛みの訴えよりも呼吸困難、吸気時の喘鳴(ぜいめい)やよだれが症状として出て来やすいと言われています。
気管支喘息
喘息と診断されている人に喘鳴(ぜいめい)が見られたら、もちろん気管支喘息による喘鳴(ぜいめい)を最初に疑います。診断されているから大丈夫ということは全くなく、すぐに治療をしないと命に関わることがあります。
吸入薬を持っていれば吸入をし、なければすぐに専門科の受診が必要となります。
特に喘息と診断されている子供は、酸素状態が悪いにもかかわらず見た目はそれほどでもないことがしばしばあるので、一見元気でも注意が必要です。
クループ症候群
ウイルス感染により、犬が鳴くような咳(犬吠様咳嗽と呼ばれる)をするのがこのクループ症候群です。
1-2歳に多く、季節では冬に多いという特徴があります。また夜間に悪化しやすいので厄介な病気です。
最も重症な急性喉頭蓋炎との区別がよく問題になりますが、喉頭蓋炎は喉頭蓋が腫れる病気で、飲み込みができなくなり、よだれが出やすくなります。一方でクループの場合は敏感な声門の下が腫れて、咳がとにかく前面に出てくるのが特徴です。
急性細気管支炎
7-8割がRSウイルスによるものです。
感染するとたくさんの鼻汁(はなみず)が出て、鼻閉(はなづまり)を起こします。その結果、哺乳力低下と多呼吸を生じます。
ご自宅での鼻汁吸引が非常に有効です。ただし、鼻水がたまりすぎて無呼吸発作になることもあるので注意が必要です。どれだけ哺乳しているかを把握しておくこと、水分を多めに摂取することが重要と言われます。
気管支異物
最も多い誤嚥はピーナッツです。誤嚥したときに激しく咳をして、一旦症状が落ち着くことが多いですが、それで安心してはいけません。誤嚥した可能性がある場合は、積極的に医療機関を受診するようにしましょう。
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最後に
さっきまで元気だったのに急に喘鳴が出てきた場合は、何かを誤嚥した可能性があります。徐々に元気が無くなったり、咳がひどくなって喘鳴に変わったときには感染症の可能性が高いでしょう。
おかしいな、と思ったら医療機関を受診しましょう。その際に、医師に子供の情報を的確に伝えることが迅速な診断および治療に繋がります。上記のチェックポイントで気になるようことがあれば、積極的に伝えるようにしましょう。
by kudi