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大人の診察と子供の診察は大きく異なります。
小児科の医師以外が、子供を診るのを嫌がる理由の一つがこれです。

今回は、非小児科医のための子供を診察する手順についてまとめてみました。
普段、子供を診る医師がどのようなことに気をつけて診ているのかを参考にしていただければ幸いです。


子供の診察のポイント

子供の場合、一度不機嫌になり泣き始めると、とことん泣いてしまう傾向にあります。ですので、とにかく機嫌を損ねないように、嫌がることは最後に回して診察していく必要があります。

また、喋っている隙に口の中を観察したり、勝負は一瞬のことが多いのも特徴です。

一緒に診察に来ているご両親に協力いただき、診察しやすいように子供を押さえてもらうこともしばしばありますね。

子供の診察の手順

①全体を見る。

子供の顔色、呼吸、ぐったりしていないかなどをチェックします。

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②胸部を診察する。

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大人の場合、全身をチェックしようとすると、頭や喉、頸のリンパ節などから診察することが多いですが、子供の場合は、頭や顔を触られると嫌がりますので、胸部から診察します。

  • 呼吸音
  • 心音

を聴診器で聞き取ります。この際に、聴診器の膜型は、心雑音の聞き分けに便利であり、ベル型は呼吸音の聞き分けに便利とされます。

聴診器を使う際のポイント
  • 冷たい聴診器を胸に当てられるとびっくりしますので、聴診前には手で温める。
  • キャラクターや動物の絵が描いてある聴診器もgood!!
  • 聴診器を使って子供と遊びながら、聴診をする。

③頭頸部を診る。

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口腔内を視診したり、頸部のリンパ節が腫れていないかなどをチェックします。

舌圧子を嫌がる子供は多いので、嫌がる場合は、

  • 「ア〜ンしてみ!」といって口を開けた隙に診察をする。
  • 子供が喋っている隙に、診察をする。

といったテクニックが必要となります。

その次に、を診ます。

大人の場合、耳が痛いなどの症状を訴えない限り、耳を見ることは稀ですが、子供は中耳炎を起こしていることが多いため、必ず耳をチェックします。

ただし嫌がる場合は無理をしないようにしましょう。

耳垂れやリンパ節が腫れており中耳炎が疑わしい場合は耳鼻科を紹介するのが一般的です。

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ベッドでの診察のポイントは?

腹部を診る

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腹部を診る場合は、ベッドでの診察が必要となります。ここでは、裸になってもらい、手足を含めて全身をよく診ることが重要です。

腹痛を訴える場合は、まず

  • 虫垂炎(右下腹部に圧痛があることが多い)、
  • 便秘症(下行結腸に硬い便を触れる)、
  • 腸重積(オリープ様腫瘤を触知。血便などあり。)、
  • 胃腸炎(臍付近を下から触診すると、しかめ面をする)

に注意しながら診察します。
子供の場合、嫌がることは最後に回すのはここでも同じです。
痛いところは必ず最後に触るようにしましょう。

腹部の触診では、大人の場合、親指以外の4本の指で行いますが、子供の場合は、2-3本の指で触診を行います。

鼠径部を診る

鼠径部に腫瘤を触れる場合は、鼠径ヘルニアや陰嚢水腫といった病気の可能性があります。

子供を起こして背中を診る

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腹部と鼠径部の診察が終われば、ベッド上で子供を起こして、背中を観察します。

シェーンラインヘノッホ紫斑病では、下腿のほか、腹部にも紫斑や出血を伴うことがあるので、注意深い視診が重要となります。また、背中や腹部、四肢の視診で忘れてはいけないのが、幼児虐待です。子供の場合は、不自然なあざや傷がないかを常にチェックして、幼児虐待を除外していく作業が重要です。

次に、背中を打診して、腎盂腎炎がないかをチェックします。

まとめ

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子供を診察する上での注意点と、診察の手順についてまとめました。要点は、

  • 嫌がることは最後。
  • 子供特有の疾患も考慮。
  • 子供は訴えられないので、常に表情をチェック。
  • 幼児虐待の可能性を常に考慮。

ということです。医師だけでなく、看護師や、病院へ連れていくご両親の何かのヒントになれば幸いです。

by kudi

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