「学資保険」の受け取りに「税金」がかかることもあるってご存知でしょうか?
ということで、今回は学資保険の受け取りにかかる税金について
- どういった場合にかかるのか?
- どんな種類の税金か?
- 加入時に注意するポイント
などを挙げながら、実際にいくらほどかかるか試算も交えてご紹介します。
無駄に税金を払わないでよいように、加入前にぜひチェックしておきましょう!
学資保険の受け取りに税金はかかる?
学資保険で受け取るお金は課税の対象となります!
しかし、多くの人が設定する200~300万台(500万以下)の満期金の場合
→ 実際に支払うことはまずありません
- 500万を超える多額の満期金の学資保険
- 学資年金タイプの学資保険(自営業の方は特に注意!)
- 保険料の「契約者」と「受取人」が異なる場合
上のケースでは、課税対象となることがあるので、ご注意ください。
学資保険にかかる税金とは?
- 契約者と受取人が同一の場合→ 所得税
- 契約者と受取人が異なる場合→ 贈与税
保険料を支払う「契約者」と「受取人」が同一か異なるかで、かかる税金の種類が変わるということです。
※「契約者と受取人が異なる場合」については後程→3 「贈与税」―契約者と受取人が異なる場合に注意! にて詳しくご説明します。
「所得税」-契約者と受取人が同一の場合
まず、上で説明したように、保険料の支払いをした契約者と受取人が同一の場合、受け取る学資保険のお金は自身の所得の一部と見なされ「所得税」の課税対象になります。
学資保険の受け取り方でさらに
- 【満期金を一括で受け取る場合】・・「一時所得」
- 【学資年金として受け取る場合】・・「雑所得」
に分類され、課税される税金の計算方法や額が変わってくるのです。
「一時所得」も「雑所得」も
払った保険料よりも受取りの額が多い=利益が多いほど、課税の対象となりやすくなります。
満期金を一括で受け取る場合
まず、一括で受け取るお金は「一時所得」となります。
「受け取ったお金」と「支払った保険料」の 差額が50万円を超えた時 に税金がかかってくることになります。
≪ 「一時所得」の税額 ≫
(総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除50万円)×1/2
学資保険でいうと
(受け取る金額―支払った保険料総額―50万円)×1/2 で算出します。
つまり、「一時所得」の税額を出すには・・
- 受け取る金額から支払った保険料を差し引いたその「差額」=「利益」を出し
- そこから特別控除の50万円を引いて残った金額→「一時所得」
- さらに「一時所得」を半分にした額→「課税金額」 となります。
なので 50万を超える差額がない場合は支払う税金は0円 です。
満期金を500万以下に設定している場合は
→ 差額が50万を超えることはまずない=払う税金はほぼ0円 と考えて良いでしょう。
よっぽど多額の保険金だったり、ものすごい利率でない限り差額は50万を超えません。
一括で学資保険を受け取る場合は、税金の心配はほぼいらないと言えます。
※しかし、満期保険金が500万を超える場合は加入時に税金の計算をして課税されないか確認しておくことが大事です。
学資年金として受け取る場合
次に、一括ではなく年金タイプの「学資年金」として受け取る場合を見ていきましょう。
最近の返戻率比較で上位を独占しているのがこのタイプであり、以前より加入者が増えている加入方法です。
一括で受け取るよりも、運用期間が長いため利率が高いのが特徴。
この「学資年金」タイプの学資保険は、受取る際にこの税金を支払う可能性が高くなるので気を付けましょう。
自営業者 は特に要注意です!
「受け取るお金」と「払込保険料総額」の差額(利益)=課税対象額 となるからです。
大学資金が毎年受け取られるこの「学資年金」の場合、その受け取るお金は「雑所得」に分類されます。
この「雑所得」には
- 「一時所得」のような「特別控除額50万円」がありません。
- 自営業者に限っては「非課税枠」もありません。
※専業主婦には38万、会社員20万という非課税枠がありますが、50万より小さな額です。
このことが、受け取る学資保険のお金に税金の支払い義務が課せられるかどうかへ大きく影響してきます。
もちろん、学資年金型でも税金がかからない場合も多いので、その高い返戻率や大学資金を重視した受け取り方はとても魅力です。
関連記事)
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雑所得の計算方法とは?
まず、祝い金や満期保険金が「一時所得」に分類されるのに対し、大学時に毎年受け取る学資年金タイプは「雑所得」に分類されます。
雑所得=(総収入金額-必要経費)
なので、ほぼ雑所得は「利益」という仕組みになっています。
学資年金は期間内に毎年もらうので、受け取る年は年額の雑所得への課税分の税金を毎年支払うことになります。
つまり、年額の雑所得を算出することになります。
1年間の雑所得は以下の計算式で求めることができます。
雑所得 = 学資年金年額- {学資年金年額 × (払込保険料総額÷総支給見込額 )}
毎年同額の支給の場合は簡易的に以下の計算式でも算出できます。
雑所得=学資年金額-(払込保険料総額÷年金受取回数)
その結果、雑所得が
- 専業主婦・・38万円以下
- 会社員・・・20万円以下
- 自営業者・・0円以下
であれば、非課税になり、税金がかかることはありません。
上でも説明しましたが、「雑所得」は、一時所得の50万円のような特別控除が引かれることはありません。
なので、その年に受け取る利益がそのまま「課税対象金額」となるわけです。
しかし、専業主婦は38万円、会社員は20万円という非課税枠があり、これを超える金額にならない場合は支払う必要はありません。
!注意!
自営業者の場合、この非課税枠がありません
年額で算出した雑所得全額が課税対象
※また、非課税枠内だった会社員であっても申告が必要になるケースもあります!※
→医療控除や住宅ローン控除の手続きをするなど他で確定申告をする場合です。
年末調整時に雑所得が20万円以下で確定申告の必要なし!となっていたとしても・・
一緒に申告する必要があります。
他の所得と合算されて課税となるので気を付けましょう。
教育年金の雑所得を試算してみよう
- 総受取り額(支給見込み額総):300万
- 払込保険料総額:254万2,440円
- 学資年金の年額:75万(大学入学後毎年75万円×4年間受け取りの場合)
という学資保険であったとして、「雑所得」を算出してみましょう。
上の保険は毎年同額なので、簡易式に当てはめてみます。
雑所得=学資年金額-(払込保険料総額÷年金受取回数) なので
雑所得=75万―(2542,440÷4)=11万4,390円 となります
しかし、専業主婦は38万円、会社員は20万円、自営業者は0円までは非課税なので、
- 専業主婦と会社員は非課税枠内の金額なので0円
- 自営業の方は、「雑所得」=11万4,390円
が課税対象となるわけです。
この「年額の雑所得」が課税対象であるということであって、実際に支払う税額ではありません!
自営業者の場合、この「雑所得」と「事業所得」を合算し、所得税率をかけて税額を出すわけです。
※所得税率は、収入によって変わってきますので、前年の確定申告書の控えや源泉徴収票などを参考にご確認ください。
ここでは、参考までに学資保険で受け取る「雑所得」のみで、かかる税額を出してみましょう。
≪実際に雑所得にかかる税額は・・≫
まず、上の計算で出た年額の「雑所得」=11万4,390円
税額=雑所得×所得税率 なので
- 所得税率は年収500万円までの人であれば5%になる人が多いので、ここでは仮に所得税率5%とします。
- 税率をかける前の金額である課税標準額は、1,000円未満切り捨てですので、雑所得は114,000円で計算します。
この条件の場合
税額=114,000円×5%=5,700円
雑所得に課税される税金は、年に 5,700円という結果となります。
学資保険の受取りは4回に渡りますので、4回の受け取りにかかる税額の合計は・・
1年の税額5,700円×4回=合計 22.800円 となります。
※一例であり他の所得により値は変わります
実際は、事業所得と合算で算出し、その場合の所得がどれくらいになるのか、その場合の所得税率はどうなるのか等、個人の条件などで変わってきます。
税金について詳しく知りたい方は
→ 税務署への無料電話相談 もオススメ 名乗る必要もなく気軽に質問することができますよ。
所轄の税務署へ電話すると音声案内→「相談電話センター」へ繋がりますので、税金についてプロに聞いてみるのもよいでしょう!
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「贈与税」―契約者と受取人が異なる場合に注意!
それは、ずばり・・「贈与税」!!
保険料を支払う「契約者」と、保険料を受け取る「受取人」が異なる場合
→ それは贈与と見なされ「贈与税」として税金がかかります。
この贈与税は、税率が高いので要注意なんです!
贈与税はどのくらいかかる?
まず、贈与税には、110万円の非課税枠 があります。
→ 年間110万円までの贈与なら税金はかからない ということです。
したがって、途中で受ける「祝い金」については、多くの場合110万円以下ですから贈与税は発生しません。
贈与税では、まず受け取った保険金から110万の基礎控除を引きます。
この引いた後の金額「基礎控除後の課税価格」を元に、かかる税率と控除額にしたがって税率を計算します。
計算式で書くと・・
贈与税額=(受取保険金-基礎控除額110万円)× 税率-控除額 です。
税率や控除額は以下の通り
基礎控除後の贈与額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 225万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
※平成29年1月現在の一般税率
例えば
- 満期保険金が200万円の場合・・(200万円-110万)×10%=9万円
- 満期保険金が500万円の場合・・(500万円-110万)×20%-25万円=53万円
「所得税」だと 0円や少額だった税金→「贈与税」なら 9万円 や 53万円 となるわけです。
中には、よくわからず契約して失敗したケースも・・
ぼくちんの友達が娘ちゃんに学資保険をかけてたんやけど、受取人を娘ちゃん名義にちていたため、満期をむかえたら贈与税払え❗ときたそうでつ(((^_^;)💸ちなみにぼくちんは受取人を自分自身にしとりまちた(^^)👛
— 天地人 (@makorin1968) May 16, 2016
親が子供のために、祖父母が孫のためにと、受取人を子供本人にしようとする方はいらっしゃるかと思います。
しかし、贈与税は税率が高いため、基本契約者と受取人は同一人物にしておきましょう。
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最後に
学資保険の受け取り時、ほとんどの場合は課税されない
しかし以下のように・・
- 一括で「一時所得」として500万以上の多額な受取金の場合
- 学資年金で「雑所得」として受け取る場合(特に自営業者)
- 契約者と受取人が異なる際にかかる「贈与税」の場合
この3つのケースでは、課税される場合があるので気を付けましょう!
課税されるとしたら
- 契約者と受取人が同一の場合→所得税
- 契約者と受取人が異なる場合→贈与税
であり、そのうち「所得税」は学資保険の受け取り方でさらに
- 【満期金を一括で受け取る場合】・・「一時所得」
- 【学資年金として受け取る場合】・・「雑所得」
に分類され、課税される税金の計算方法や額が変わってくる。
学資保険加入時に、受け取り時の税額がどのくらいになるか、しっかり考えて入り方を検討することが大事。
しかし、最近は大学在学中の教育資金を充実させた「学資年金」型の保険が増えていますよね。
この年金式の保険が、自営業者は必ず課税の対象となる「雑所得」扱いになるものが多いので要注意!
贈与税は得に税率が高いので、契約者と受取人を同一にすることも覚えておきましょう。
このように、知っておくことで無駄な税金を払わずに加入するように気を付けることができます。
※この情報は2017年1月現在のものです。今後税率など変更する場合もありますのでご了承ください。