ここ10年ちょっとで子供の喘息は大きく変わっています。特に、乳児喘息と呼ばれる1歳前後の患者が多くなっているのが最大の特徴です。
喘息は命に関わる病気です。喘息の軽症に属するタイプであっても、近年新型インフルエンザ流行時に小児が命を落とすということもありました。感染症などをきっかけに重症化するのが喘息の特徴でもあります。
それと同時に喘息は、治る病気でもあります。ただし、治療を誤れば子供が大きくなった後も気道に病変が残り、症状が残ってしまいます。
早期発見して早期治療、きちんと治療することが大事なのです。
今回はそんな喘息の治療法についてまとめてみました。
喘息の治療の基本は?
喘息の治療には大きく二つあります。発作が起こった時の治療、つまり急性期の治療と、そもそもの長期的な根本的な治療の二つです。
急性期の治療、つまり喘息発作が起こったときの治療ですが、自宅であっても吸入薬(β2刺激薬)を使います。
ただし注意点としては、使っても3回程度までにしましょう。3回使っても効果がない場合は医療機関を受診するようにしましょう。ここで、ツロブテロール貼付薬は即効性がないので注意しましょう。
喘息発作の原因としては、寒冷刺激、タバコの煙、ウイルス感染や梅雨や台風などの気圧の変化などが挙げられます。
注意すべき点として、これらの刺激がなくなり、発作が一時的になくなっても、喘息は完治したとは全く言えません。発作がなくても気道での炎症は持続していて、ちょっとした刺激で発作は起こりやすい状態です。根本的に治さないといけないのです。
喘息を根本的に治療していくには、以下のことを目標にしていきます。
- 吸入薬(β2刺激薬)の頓用が減少、または必要がない。
- 昼寝を通じて症状がない。
- 学校を欠席しない。
- スポーツを含め日常生活を普通に行うことができている。
- PEFが安定している。
- 肺機能がほぼ正常。
- 気道過敏性が改善(運動や冷気などの吸入による症状誘発がないことが確認される)
特に最後の項目が重要です。
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喘息の真の重症度とは?
喘息の治療にあたり、喘息の状態を重症度によって分類する必要があります。具体的には、症状の頻度により間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型、最重症持続型と5つに分けられるのですが、ややこしいのでうち3つ、
- 軽症持続型:月に1回以上の発作がある。
- 中等症持続型:週に1回以上の発作がある。
- 重症持続型:毎日発作がある。
と定義されていますので、これを目安にすればいいとされています。
そして喘息の治療にはSTEP1-4の治療があり、ステップが上がるほど強力な治療を行います。
ここで大事なのは、
- 強い治療を行っているのに週に1回発作がある。
- 弱い治療を行っていて週に1回発作がある。
というのは、同じ中等度持続型ではありますが、全く意味が異なりますよね。
つまり治療にどの程度反応して、発作の頻度がどれだけ下がったかも重要であり、これを真の重症度分類とされます。
喘息の根本的治療の期間の目安は3ヶ月!!
- 喘息の症状の程度や頻度から重症度を判定
- 治療を考慮した真の重症度をもって長期管理薬を処方する。
- 症状が3ヶ月以上安定なら治療を減らしていく。症状が不安定ならば真の重症度判定により治療を強化していく。
という手順で、3ヶ月の治療を目安にして、その後の治療を緩くするのか、あるいは強くするのかを決めていきます。
ただし、この3ヶ月というのは医師によるもので、半年や1年見ていく場合もありますのでこの限りではありません。
喘息を根本的に治療するにあたり具体的な治療薬は?
喘息を根本的に治療していく薬を、長期管理薬やコントローラーといいます。コントローラーには、大きく以下の3種類があります。
- 吸入ステロイド薬
- 抗アレルギー薬:ロイコトリエン受容体拮抗薬、クロモグリク酸ナトリウム(DSCG)
- 気管支拡張薬:テオフィリン徐放製剤、長時間作用性β2刺激薬
この吸入ステロイドの登場により、コントロールがよくなり、発作頻度が減少して、入院が必要となる重篤な小児が減りました。喘息の治療の中心となる薬です。
気管支拡張薬の長時間作用性β2刺激薬もよく使われますが、吸入ステロイドと併用されるのが基本であり、単独で使われることは基本的にありません。
治療のSTEPに応じて吸入ステロイドの量を増やしたり、減らしたりします。具体的な量についてはこちらでは割愛します。
最後に
喘息は治る病気でありますが、中途半端に治療をすると、大人になっても気道の炎症が残ることがあります。発作が起こった時だけ、症状を抑えて終わりではなく、根本的に治療していくことが大事です。
それと同時に、特に発作時には命に関わる病気であり、発作が強い場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
by kudi